きっと、うまくいく - diary.jgs.me
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ついにみてきましたよ、「きっと、うまくいく」。
インド有数の工科大学を舞台に、天才自由人ランチョー、動物写真家になりたいけど父の意向で工学系にきちゃったファルハーン、工学大好きなんだけどなかなか成績に結びつかないラージューの3バカトリオは騒動を起こしながらも仲良くなっていく。しかし、卒業式を最後にランチョーが行方不明になってしまう。そのランチョーが久しぶりに現れると聞いて心臓麻痺のフリをして乗っていた飛行機をUターンさせたファルハーン、そしてそのファルハーンに連絡をもらってズボンも穿かずに出てきたラージュー。けれど、指定された場所にランチョーはおらず、ランチョーを探すことに。 っていう映画。全体の構成とかがハングオーバー!を連想しちゃう感じだけど、そこにインド感をブチ込んでしかもちょういいメッセージまでトッピングされていて、涙腺がもたねえよもう!!!ってボロ泣きでありました。 こっからはちょっとネタバレも含まれるのでみてないひとは今からすぐにみにいきましょう。
それでね、よかったのはね、ランチョーがそれはもういいやつで、洒落も効いてるし言ってることは理に適ってるし、友達想いでなんでもするし、ほんとにいいやつ。
インドの事情がどうなのか僕には推測することしかできないんだけど、やっぱり家長の言というのは強くて父親が「エンジニアになれ」っつったら子供はもうそうなるしかないっぽい空気なわけ。実際自殺も多いみたいだけど、それの要因がそういうところにあるんじゃないかってところも劇中でランチョーが指摘していた。さらに、ファルハーンもそういう事情で工科系の大学にきていて、学長の息子の自殺の話と対比させてるんだよね、きっと。ランチョーの助力もあってファルハーンは最後には自分の好きなことを選ぶ。ラージューはラージューで一度は危うかったけれど、自らの弱さ臆病さに打ち克って不利な面接をパスする。アールイズウェル。 それから、ピアのお姉さんの出産での「吸引器!?そんなもんねえけど掃除機で作れるだろ!」「掃除機なんかでは無理だわ!」「できる、できるよ!」でDIY精神を存分に発揮していて、一工学徒として涙を禁じ得なかった。工学ってそうなんだよな。座学なんかファッキューだよ(いや、大事だよ。大事)。ひとを喜ばせるために、少しでもしあわせを産み出せるように、おれたちはものづくりをしているんだよ!!!そんな原点を美しく表現してくれていた。
その後の宇宙ペンのくだりにも泣いた。入学直後に、学長が「この宇宙飛行士が使うペンはどんな角度でも無重力でも使えるすげえペンなんやで」とありがたい法話をした後にランチョーが「それはすげえかもしんねえけど鉛筆でよくね?」ってツッコミをいれて笑いを誘う。その時は学長は濁してなにも答えずに「とにかく優秀な学生が現れたらこのペンを授与しよう」と話す。そして、無事出産した後にランチョーに対して「鉛筆はな、無重力で使うと黒鉛が散って機械とかに挟まっちゃって誤作動する危険があるから、この宇宙ペンが開発されたんや。だからこのペンには意味があるんだ」と語る。そして、大事な宇宙ペンをランチョーに託す。ここ、製作チームの工学への理解もすごくあってよかった。学長とランチョーは随分仲違いをしていたけれど、学長も完全に悪者ってわけじゃなくてきちんと優秀な弟子を認めようとする意思があって、「ああ、師弟関係ってこういうのだよなあ」とグッときた。
先に書いたように、ある程度悪役の立ち回りをする学長も完全に悪者じゃなくて、きちんと理念や意志をもってそういう立ち回りをしているんだという理由付けがされていたし、終始ウザい役の優等生クンも悪く描かれているわけじゃない。値札オトコはまあ、ともかく、この映画はどのキャラクターに対してもすごく愛を持って描いていて好感がもてた。あんだけイヤーな描き方をしていた学長も、娘の出産で改心して「お前はなりたい者になれ、やりたいことをしろ」と語りかけるシーンなんかも涙なくしてみれない。
それから、こういう過去と現在がいったりきたりする映画ってのはよく時系列がこんがらがったりするんだけど、メイクさんも巧くてみるだけで一発でどっちの話をしているのかわかった。過去と現在のいり混ぜ方もじつに上手くてどんどん登場人物たちが好きになっていった。
また、インド映画特有の「とにかく要所要所でミュージカルシーンが挿入される」メソッドも健在で、僕はロボットのときはしつこすぎて辟易したけれど、ことこの作品ではほどほどな上にどのミュージカルシーンも魅力的で好きだ。 特にこの表題ソングといってもいい「All Is Well」のミュージカルシーンは何度みてもいい。卵は目玉焼きになるのか雛になるのか知らない。今自分が好きなこと、楽しいことをしろ。そして学べ。もし不安になったら「アールイズウェル」って口笛吹こうぜ。アールイズウェル。
それから、ピアが恋に落ちる「Zoobi Doobi」もスビドゥビしたくなりすぎてスビドゥビ。スビドゥビ。
なによりもね、この大学時代の友情賛歌はラスト大学生の僕にとっては福音ともいえるものだった。そういった気持ちで、その後大学編入仲間のの 4 Idiots と楽しく酒を酌み交わして幸せだった。
今日はしあわせな一日だった。
June 1st, 2013 2:03am